先日、自営業の友人から
「取引している金融機関から「預金して」って結構うるさいねん。お金借りてるだけやのになんで?」
「銀行おったんやからわかるやろ?」
って言われたんで
「お金借りてるからやで」
と返答したら
「?」
ってなってました。
そういう経験ありませんか、事業主さん?
当然ながら銀行にも思惑があります(当然!)。
預金のノルマもありますがそのあたりについて、元金融マンである私がご説明します。
融資先に預金をすすめる結論
儲かるから!
以上!
それだけかえ!!
「預金して金利払ってたら金融機関損なんちゃうん?」
そう思われる方もいらっしゃるかと思います。
実はそれがタイトルにある「金利のトリック」です。
「金利のトリック」って?
その前に、
「金利(利率)」「利息」「元本」の関係
について(「金利」は年率で表示)
「利息」=「元本」✕「金利(利率)」
これは預金にも融資にも当てはまります。
預金であれば「受取利息」融資であれば「支払利息」になります。
「表面金利」と「実質金利」
金利には、
- 表面金利
- 実質金利
というのがあります。
ここからは数字を使って説明します。
「表面金利」とは?
文字通り、実際融資の際に交わした金銭消費貸借契約証書に記されている金利です。
「実質金利」とは?(今日のメイン)
「実質金利」は、
(実際金融機関に支払っている利息)÷(実際元本)
で算出します。
実際金融機関が支払っている利息 とは
(融資に際して支払っている利息)ー(預金に際して受け取っている利息)
です。
実際元本 とは
(金融機関から融資をうけている元本)ー(預金元本)
です。
具体例を示します。
融資 1,000万円 金利2.0%
定期預金 200万円 金利0.5%
とすると、
融資 | 預金 | 融資ー預金 | |
元本 | 1,000万円 | 200万円 | 800万円 |
利率 | 2.0% | 0.5% | |
利息 | 200,000円 | 10,000円 | 190,000円 |
実質金利 | 2.0% | 0.5% | 2.375% |
実質金利=(200,000-10,000)÷(1,000万円-800万円)=2.375%
となり、融資の表面金利(2.0%)を実質金利が上回ってしまいます。
これが金融機関の実質金利で、いわゆる「金利のトリック」となります。
金利のトリックの悪用厳禁!!
「歩積み・両建て」
カンのいい方なら、
「実際800万しかいらんところ1,000万円貸して、余分に貸した200万円定期(預金)にしてもろたらええんちゃうん?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
強い立場利用して金融機関がそんなこと言うかもしれませんね(@_@;)
実はこの金融機関の行為は、「歩積み・両建て」といって禁止されていますのでご心配なく(^O^)
あと、私自身在籍していた金融機関(銀行、信用組合)では、融資実行してしばらくの間(1週間くらいだったかな?)定期性の預金の受入時には簡単に作成できないようになってました。
理由は上記の「歩積み・両建て」を防止するためです。
やらかしたぁ・・・
にもかかわらず、残念ながら、
これをやってしまった金融機関は実はあって、金融庁から行政処分を受けています(T_T)
残念でなりません・・・
第2.処分の理由(3)本部の牽制機能の欠如
監査部は、関係書類に係る外形的な点検や、手続の遵守状況を検証する事務面の監査しか行っておらず、上記の融資実行手数料や実質的に両建となる担保定期預金の徴求及び不適切な融資が繰り返されていることを発見できていない
平成30年7月13日関東財務局 株式会社東日本銀行に対する行政処分について
(参照)
株式会社東日本銀行に対する行政処分について:財務省関東財務局 (mof.go.jp)
金利のトリックを逆手に使える(かな?)
この実質金利、金融機関それぞれで決まっていることが多いです。(ほとんどかな(^_^;))
ただ、融資の種類によりますが、プロパー融資(各金融機関の裁量での融資)であるなら他の金融機関から預金を預け替えして利下げ交渉することも可能かも・・・
まとめ
融資を受けている事業主(所)様へ金融機関が預金のお願いにくる場合、これだけではないのですが(ここ重要w)こういうことか、ということも頭に入れておかれるといいと思います。
いろいろありますが、持ちつ持たれつ、win-win でありたいものですね。