こんにちは、みやけんです。
「黒字倒産」という言葉、聞いたことありますか?
えっ、黒字って儲かってんねんやろ?
なんで倒産なん?
と普通は思いますよね。
私も初めてこの言葉を聞いたとき耳を疑いました。
でも実際にあるんです、黒字で倒産する会社って(驚)
ここでは、黒字倒産というある意味相反する言葉の意味を説明します。
これを読むと、
- 黒字倒産になってしまう原因は何なのか
- 黒字倒産という憂き目にあわないようようにするにはどうしたらいいのか
がおわかりいただけます。
黒字倒産とは?
では、黒字倒産についての定義、及び現状について解説します。
定義
黒字倒産とは、通常、黒字計上、つまり、利益をあげているにもかかわらず、手持ち現金が不足し仕入の支払いや借入金の返済に充てられず経営が継続できない状態をいいます。
商売していると「帳面あって銭足らず」っていわれますが、まさにその状態のことをいいます。
お金がないと仕入もできませんし、従業員の給料も払えません、光熱費も言うまでもなく、そして銀行などへの借入金の返済も・・・
赤字で儲かっていないのならともかく、黒字で利益をあげているにもかかわらず、このような状況になってしまうことがあります。
そんなの絵空事ちゃうの?脅しやろ!!
と思われるかもしれません。
では、実際のデータからわが国の企業の現状について見てまいりましょう。
黒字倒産の現状
2021年に公表された東京商工リサーチ「2020年「倒産企業の財務データ分析」調査」では、2020年の企業倒産のうち、53.2%が最終赤字だった、とかかれています。
これは言いかえると、46.8%が黒字倒産企業であるとも理解できますね。
最近の3年間における黒字倒産の割合は、
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
黒字倒産企業 | 56.6% | 47.2% | 46.8% |
赤字存続企業 | 21.6% | 21.8% | 23.3% |
(出典:東京商工リサーチ)
となっており、倒産のおよそ半分は黒字倒産というデータとなっております。
ちょっとビックリですね。
一方、赤字企業であっても、倒産せずに存続しているデータもあります。
では、半数近くの企業がどうやって黒字倒産となってしまうのでしょうか・・・
黒字倒産企業が陥る5つの要素!
黒字倒産の原因は手持ち現金不足によるものということがわかりました。
であるなら、手持ち現金の不足の原因は何でっしょうか?
結論は管理不足からです。
特に次の5つのケースが考えられます。
- 資金繰り管理の欠如
- 急激な売上の増加
- 売掛債権、買掛債務の回転期間の認識不足
- 過剰な在庫
- 黒字決算によるおごり
1つでも「ん?」と引っかかることがありましたら早めに改善されるのがおすすめです。
そのことが黒字倒産から守れます。
資金繰り管理の欠如
会社において「現金」は人間でいう「血液」にあたります。
「売上」「利益」が第一で足元の「現金」に気がいっていないと黒字倒産となる可能性が高くなります。
確かに、会社にとって「売上」「利益」は大事であることは理解できますが、銀行に融資を申し込んでまず見るのが「売上」であり「利益」です。特に「利益」は銀行自体で融資先を見直す際に必ずチェックするポイントですので(「自己査定」といいます)。
ただ、「現金」については「売上」「利益」ほど同様の熱量で注視されていない傾向があり、それはすなわち黒字倒産に陥ってしまう確率が高まります。
解決方法として、会社は「現金」のみにスポットを当て、毎月どれだけ入ってどれだけ出ていくかを表にした「資金繰り表」を作成することをおすすめします。
急激な売上の増加
売上が増加しているのになぜ?
と思われるかもしれません。
これ自体は喜ばしいことなのですが、売上が増えるイコール仕入(の支払)が増えることを意味します。
もちろん売上の全額が現金で入ってくるのならいいのですが、売上金を回収するまで(いわゆる売掛金)時間がかかります。
また販売先との力関係で手形をもらったりすると回収まで時間がかかります。
一方、仕入の支払(買掛金)は迫ってくるし、毎月の決まった固定費の支払もあるので、手持ち資金が潤沢にあるのなら問題ないのですが、そうでない場合、売上急増にもかかわらず資金が不足することが考えられます。
売掛債権、買掛債務の回転期間の認識不足
上記のように売上が増加することに比例して売掛債権、同時に仕入もふえるので買掛債務も増加します。
ここで注意すべき点として、売掛債権、買掛債務、それぞれがどれくらいの日数で回収、支払とないっているのか(回転期間といいます)という点です。
売掛債権においては特に受取手形の売上に対する割合、サイト(期間)には注意しなければなりません。
同時に、買掛債務の回転期間とのバランスも注意しなければなりません。
売上は上がっても回収が長引くとしんどくなりますね。
過剰な在庫
在庫を長い期間かかえていると、劣化や摩耗、流行遅れなどによって商品として販売できない、または考えている価格で販売できない場合が起こります。
必要以上に商品を購入しないということは支出を減らすことになり、手持ち現金を使うことが避けられキャッシュフォロー面においてもプラスに作用します。
よって、必要以上に商品(在庫)を保有しないことが重要です。
黒字決算によるおごり
元銀行員として、これが黒字倒産の最大の原因だと思われます。
正直、本音ですm(__)m
銀行員時代、融資申込に来られ、審査の結果、取組ができない会社がありました。
融資見合わせを伝えに。
社長、すいません、審査おりませんでしたm(__)m
銀行は晴れた日に傘を貸し、雨が降ると傘を貸さへんなあ
と言われました。
実はこの会社、3期前までは利益を計上しており、
融資の推進で、
お金、いりませんか?
と伺っても、
間に合ってる!!
と一蹴されました。
確かに、黒字であれば資金は必要ないと言われる気持ちはわかります。
が、本当に会社が資金を必要となった時には決算書に表面化します。
そうたった時の決算書をみると銀行は融資承認を下ろさない、といったケースがあります。
例えるなら、マラソンランナーの脱水症状に似ています。
顕在化の時点で手遅れ、といった現象です。
それが会社運営に現れたら怖いですね。
実際起こりえますんで注意したいものですね
黒字企業が倒産に陥るケースを解説しましたが、このようなことを避ける手段ってあるのでしょうか?
黒字倒産はこの3つを見直せば予防できます!
れは3つのことを実践することことにより黒字倒産に陥る割合が下がります。
- 貸借対照表、損益計算書から回転期間の見直し!
- 金融機関への相談
- 資金繰り表を作成
では、それぞれについてみていきましょう。
貸借対照表、損益計算書から回転期間の見直し!
運転資金は通常、
売掛債権+棚卸資産(在庫)−買掛債務
の式で算出されます。
これは金額のみの把握でもっと大事な点が欠落しています。
それは「回転期間」です。
つまり、決算書から「回転期間」を算出します。
銀行はやってます
現金化に必要な期間(回転期間)
売上時は「売掛債権回転期間」、
仕入時は「買掛債務回転期間」
在庫商品は「棚卸回転期間」
です。
算出方法は、売掛債権、棚卸資産(在庫)、買掛債務、それぞれの金額を月当たりの売上高(または仕入)で割ります。
式にすると、
- 売掛債権回転期間=売掛債権÷月商(売上÷12)
- 棚卸回転期間=在庫÷(仕入÷12)
- 買掛債務回転期間=買掛債務÷(仕入÷12)
(売掛債権=受取手形+売掛金、買掛債務=支払手形+買掛金)
となります。
次に、運転資金を算出する式とおなじように現金化に必要な期間(月数)を出します。
現金不足期間=売掛債権回転期間+棚卸回転期間-買掛債務回転期間
となります。
この現金不足期間に月商(売上高÷12)を掛けたものが「運転資金」となります。
次に、この現金不足期間を時系列に比較します。
この期間が大きくなっていれば、資金面で厳しくなっていることを意味するので注意が必要です。
改善するには、
- 売掛債権回転期間を短くする(早く回収する)
- 棚卸回転期間を短くする(在庫を持ちすぎない)
- 買掛債務回転期間を長くする(余裕をもった支払にする)
ことが考えられます。
また、売掛金を売却して資金調達する方法もあります。
金融機関への相談
資金繰り表を作ることにより、支出の見直しや借入の必要性の有無が見えてきます。
銀行など金融機関への借入を検討したり、また現在借入している返済金を見直すなど売上や手持ち資金などを勘案して相談されることをおすすめします。
随時受け付けています
資金繰り表を作成
毎月どれだけ入ってどれだけ出ていくのかを表にしたので「資金繰り表」でっす。
これを作成することにより、毎月どれだけ残るのかがわかります。
日本政策金融公庫の「資金繰り表」のダウンロードをリンクします。
参考:日本政策金融公庫「経営計画策定に役立つ各種資料について」
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まとめ
黒字倒産の定義や黒字倒産の現状、及び要因について、そして黒字倒産の予防策について説明しました。
定義については、
利益を計上しているにもかかわらず、手持ち現金がショートして経営が継続できなくなってしまった状況なってことをいい、また、倒産件数のおよそ半数が黒字倒産のであること、そして、要因については、
- 資金繰りの管理不足
- 売上の急激な増加
- 売掛債権、買掛債務の認識不足
- 過剰な在庫
- 黒字ゆえの過信
がありました。
防止策として
- 資金不足になる回転期間の管理
- 銀行への相談
- 資金繰り表の作成
を解説しました。
多くの経営者は税理士などに任せっきりにされていると伺っていますが、一度経営者ご自身が現状を把握され、倒産の半数近くを占める黒字倒産にならないよう願っております。